内視鏡検査について
当院では、食道や胃、十二指腸などを直接観察する上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)、大腸の内側を直接観察する下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を行っております。なお、両検査とも観察するだけでなく、組織の採取(生検:ごく小さい組織片を摘まみ出して顕微鏡などで詳しく調べること)を行い、早期がんをはじめとする腫瘍性病変があるかどうかを診断します。また、下部消化管内視鏡検査では拡大内視鏡を用いて腫瘍性病変であることが確認できれば、その場で内視鏡的切除も行っています。胃の場合は血流が豊富で、切除後の出血リスクが高いため、入院施設のある医療機関での切除をお勧めしております。
当院開業にあたり、消化管内視鏡検査にて早期がんを見つけ、開腹手術をせずに内視鏡的手術などの侵襲の少ない治療につなげることを目標として診療してきました。開業当初、見つかる癌は残念ながらほとんど進行癌でしたが、健診でのヘリコバクター・ピロリ菌の検査が普及し、自覚症状のない方も内視鏡検査を受けられるようになったため、早期がんで見つかるケースが増えてきています。
胃カメラとは
胃カメラとは、内視鏡(カメラ)を口または鼻から挿入(口であれば直径10mmほどの電子内視鏡)し、先端についている超小型カメラで明るい光を照らしながら、食道、胃、十二指腸の粘膜の表面を検査していきます。この検査により、食道・胃・十二指腸のポリープやがん、炎症などを調べることができます。
胃粘膜の状態でピロリ菌の有無も検査
詳細に胃粘膜の状態を見ることで、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)による感染の有無をある程度予想することもできます。ピロリ菌は萎縮性胃炎や胃・十二指腸潰瘍や胃がんなどの原因となるので、ピロリ菌に感染していることが確認できれば、除菌治療をお勧めしております。また、ピロリ菌除菌後も、未感染の方に比べると胃がんのリスクは高いため、毎年が理想ですが、少なくとも2年に一度は胃カメラを行うことをお勧めしています。
ピロリ菌未感染の方は、自覚症状がなければ、毎年の胃カメラは必要なく、3年に一度で十分と思われます。
経鼻と経口、両方の内視鏡検査に対応
当院では、口から挿入する経口内視鏡検査、鼻から挿入する経鼻内視鏡検査ともに対応しておりますので、お好みでお選びいただけます。経鼻内視鏡は、鼻から内視鏡を挿入しますので、吐き気が起きにくいため苦痛が少なく、会話が可能といったメリットがありますが、鼻腔の狭い方は鼻出血のリスクがあります。これまで、経鼻内視鏡は、経口と比べると操作性・画質が劣っていましたが、当院では富士フィルムの最新の経鼻スコープを採用しており、画質に関しては経口と遜色なく行えます。
胃カメラを受けた方がよいとされる方の症状
- みぞおちの周辺が痛む方
- 胃の不快感・胸やけ・喉または胸のつかえ感がある方
- 吐き気・嘔吐・吐血の症状がある方
- 体重の急激な減少がある方
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍を繰り返している方
- 胃がん・食道がんになった家族のいる方
- 塩分を多くとる方 など
胃カメラで早期発見が可能な病気
- 逆流性食道炎
- 胃炎(急性・慢性)
- 胃ポリープ
- 十二指腸潰瘍
- 食道がん
- 食道ポリープ
- 胃潰瘍
- 胃がん など
胃カメラを受ける際の注意点
検査前日
- 前日の夕食は、なるべく早めに済ませるようにしてください。
- アルコールは控えることが好ましいです。
- 遅くとも午後9時を過ぎたら飲食、服薬をしないようにしてください。
検査当日
- 検査が終わるまで、飲食は禁止です(うがいは構いません)。
- タバコは吸わないでください(胃液分泌が多くなり、検査が行いにくくなります)。
- リラックスして検査が受けられるよう、ゆったりとした服装でご来院ください。
胃カメラ検査の流れ
胃カメラは挿入する場所(鼻か口)によって使用する内視鏡機器も手順も少し異なります。経鼻内視鏡と経口内視鏡の基本的な流れを紹介していきます。
経鼻内視鏡検査の流れ
予約
胃カメラ検査の予約を入れます。
※事前に採血や同意書への記入が行われることがあります。
検査当日
経鼻胃カメラ検査を行うにあたり、リスクが伴わないかをチェックします。
胃内を観察しやすくするために消泡剤を飲み、胃の中の泡を消して胃壁をきれいにします。
鼻翼を片側ずつ押さえて鼻呼吸をし、鼻の通りの良い方を確認して、どちらの鼻から胃カメラを挿入するかを選びます。
局所血管収縮薬を噴霧することで、鼻腔粘膜の血管を収縮させて出血しにくくし、鼻の通りを良くします。
鼻腔に麻酔薬を注入します。
鼻腔の痛みを抑え、胃カメラの通過を滑らかにするためです。
左側を下にしてベッドで横になり、鼻から胃カメラを挿入します。経鼻では、自由に口が動かせますので、医師らスタッフとの会話が可能です。
胃をはじめ、食道、十二指腸を観察し、必要があれば組織を採取。
一通り観察を終えたら、体内から胃カメラを抜いて、検査は終了。検査時間は、個人差はありますが、5分程度です。
経口内視鏡検査の流れ
予約
胃カメラ検査の予約を入れます。
※事前に採血や同意書への記入が行われることがあります。
検査当日
ネクタイやベルトを緩めるなど、首やお腹の緊張を解いて、ゆったりとした格好になります。
咽頭麻酔を行います。
マウスピースをくわえ、左側を下にしてベッドで横になります。そして口から胃カメラを挿入し、検査が始まります。
※鎮静剤をご希望になる方は、鎮静剤を注射してから検査を行います。
胃をはじめ、食道、十二指腸を観察し、必要があれば組織を採取します。検査中に口の中で溜まった唾液は、飲み込まずに口の横から流し出してください。
一通り観察を終えたら、体内から胃カメラを抜いて、検査は終了。検査時間は、個人差はありますが、5分程度です。
胃カメラ検査後の注意点
- 経鼻内視鏡検査を受けた後は、鼻を強くかまないでください。
- 検査後、1時間程度は飲食を控えてください。とくに経口内視鏡検査を受けた方は、咽頭麻酔が切れるまで、検査終了後1~2時間は飲食を控えてください。
- 組織検査を行った方は、お食事は2時間以上が経過してからにしてください。また、検査当日は、アルコールなどの刺激物は控え、消化の良いものを召し上がるようにしてください。
- 検査後2~3日は、アルコールや香辛料などの刺激物は控え、消化の良いものを召し上がるようにしてください。
- 検査当日の車の運転は控えてください。
- 胃カメラ施行時に胃に空気を入れて膨らませるので、検査後はお腹が張りますが、次第に楽になりますので、心配いりません。